世界初のHIT工法について沖縄実証試験の結果を交えてご紹介します。
HIT工法(熱風路上アスファルト変換工法)とは、既存の非排水性舗装を100%再利用し、その場で排水性舗装に変換させる(生まれ変わらせる)工法です。
掘り起こした既設アスファルト混合物を新たに開発したスクリーン装置によって、上層用の排水性アスファルト混合物と、下層用の非排水性アスファルト混合物に現場で自走しながら篩い分けすることを可能としています。
さらに、篩い分け後の混合過程を経て敷きならしを行うミキサーペーバには2種類のアスファルト混合物を同時に2層に敷きならす工法(デュアルアスファルトペーブメント工法)を採用。これにより下層として非排水層を敷きならした後、直ちに排水層を上層として重ねて敷きならすことを可能にしています。
これらの特徴から、従来の工法とは大きく工程が異なります。
現在、一般的に行われている工法では以下のような工程が含まれています。
- 路上表層の切削
- 切削された表層のアスファルト混合物を全量搬出
- 表層が搬出された表面の処理
- プラントからの排水性アスファルト混合物の搬入
- 搬入された排水性アスファルト混合物の敷きならし
- 現場から搬出されたアスファルト混合物の別途再生処理
これらの工程では新旧アスファルト混合物の搬出、搬入量の負担が大きく工事用トラックの往来頻度は高くなります。
HIT工法では2.3.6の工程は不要となり、4のアスファルト混合物の搬入も必要最小限となります。すなわち、既存のアスファルト混合物を排水性舗装の新材料へと再利用できる為、搬出用トラックは不要となります。また、新たな排水性アスファルト混合物の投入量も大幅に削減することができます。
その結果運搬用トラックの往来頻度は大幅に削減され工事による交通渋滞の緩和に役立ちます。
経済性については工期の短縮、材料の節約、使用エネルギーの削減を可能とし大幅なコスト削減効果が期待できます。また、エネルギー総消費量を従来工法と比較すると約34%の削減に成功、運搬用トラック台数の比較については、従来工法では64台を要するところ、実績は18台となり、72%の削減率を達成しました。(2005年9月初旬の沖縄道路舗装実証試験時)
施工後の道路は排水性舗装へと変換されているので、ハイドロプレーニング現象やウォータースプレー現象の抑制などの効果が得られます。